簿記の学習(13) 貸倒引当金

(○-○) そもそも貸し倒れっていうのはな……売掛金受取手形の代金回収ができないことだ。


(・∀・) 売掛金受取手形


(○-○) 売掛金受取手形も「あとでお金を支払ってもらえる権利」だな。しかしお金を貸した先の企業が倒産したりすると、返してもらえなくなることがあるだろ。
それが「貸し倒れ」。google:リーマン 貸し倒れで見るとアメリカの証券会社に貸していた日本の銀行が貸し倒れしているぞ。

で、「貸し倒れ」を予想してあらかじめ費用として計上するのが貸倒引当金


(・∀・) わけがわからんお! なんであらかじめ費用として計上する必要があるんだお!


(○-○) 確かに、実際に代金回収で損したときに「貸倒損失」(費用)で処理するだけにすればシンプルだな。

でも、「今いくらお金持ってる?」を決算の時点ではっきりさせようと思うと、損しそうなことがはっきりしてる場合、あらかじめ「損したらこうなります」というふうにしておくと、より正確だろ?
その損したときの予想金額が「引当金」なんだ。

逆に「引当金」を使わない場合、損すること(費用)を先送りしているのであんまりよく思われないみたいだぞ。


(・∀・) でも、面倒だお……


(○-○) 面倒でも、正確な財務諸表になるほうが大事ってことだろ。
カーショップがGT-R R35(777万円)を売ったとして、その買った人の事業が倒産しかけだとしよう。

売ったときの仕訳。
カーショップ「買った人は事業で成功してるから、後払いだけど必ず支払ってもらえると思っていた……」

(借) 売掛金  7,770,000      (貸) 売上  7,770,000


(・∀・) あっ、まだ金受け取ってないのに売上に全額計上しちゃってる!


(○-○) そうなんだ。だから「結局お金は受け取れないのに……」と知っている側から見ると、「受け取れない金額」の予想を立ててその分売上つまり収益を減らすことで、より正確な損益がだせるってわけ。


決算のときの仕訳。
カーショップ「買った人の事業が大崩れ! 全額回収できるか怪しいぜ……70%は回収できると思うけど、30%くらい取りはぐれるかも」
これを問題文にすると「777万円の30%の貸し倒れを見積もりました。」


で、損するかもしれない金額を予測して「損したらこうなります」とするために損失に入れるんだな。「貸倒引当金繰入(かしだおれ ひきあてきん くりいれ)」というのが「損失に入れました!」という勘定項目(費用+)だ。
その反対側には、「お金を受け取る権利」売掛金を減らす(資産−) にすると分かりやすいんだが、まだ予想金額なので売掛金を減らせないので、「貸倒引当金」(資産−)を記入する。

(借) 貸倒引当金繰入  2,331,000      (貸) 貸倒引当金  2,331,000


(・∀・) 貸倒引当金はここでは売掛金の代理として置いてある感じだね。
しかし233万とは結構大きな額だね


(○-○) というか簿記の参考書って金額を安く書きすぎてやる気をなくさせてると思うんだよな。貸倒引当金繰入が300円とかそんなの記帳する気にもならないだろ、安すぎ。
やっぱし学ぶときは大げさなくらい大きな金額のほうが、する意味を感じれると思うよ。


貸し倒れたときの仕訳
カーショップ「買った人の事業が倒産! 買った人は夜逃げ!全額は回収できなかったー」
それでも80%は回収できた。回収できなかった貸し倒れ金額は777万円の20%にあたる¥1,554,000。

→「金を受け取る権利」売掛金が減ってしまった(資産−)。売掛金の代理として置いていた貸倒引当金は、その売掛金とひきかえに減る。

(借) 貸倒引当金  1,554,000      (貸) 売掛金  1,554.000


(・∀・) 貸倒引当金って資産マイナスだったよな。なんで、借り方に来るかな?


(○-○) この仕訳は単に、勘定科目を「貸倒引当金」から「売掛金」につけ替えてるだけだな。科目名の振り替えって言う。貸倒引当金売掛金に変換するために、これまでの貸倒引当金の反対側に貸倒引当金を持ってきて、「貸倒引当金」を相殺して無くそうとしてるんだ。


ところで決算の時期に、貸倒引当金を決めようとしたら、前期(去年)の貸倒引当金が残ってた。つまり去年損しそうな取引があったんだけど実際には損しなかった場合だな。
こんな場合、「損失予想(貸倒引当金)が¥2,331,000」で、前期の残高が1,000,000残ってる場合は、以下のような仕訳になるんだ。
貸倒引当金繰入(費用+)
貸倒引当金(資産−)

(借) 貸倒引当金繰入  1,331,000      (貸) 貸倒引当金  1,331,000

去年と今年の貸倒引当金を合計すると、「損失予想(貸倒引当金)が¥2,331,000」になるようにした仕訳だ。


「損失予想(貸倒引当金)が¥2,331,000」で、前期の「貸倒引当金」の残高が3,331,000残ってる場合は、
貸倒引当金戻入(かしだおれ ひきあてきん もどしいれ)収益+
貸倒引当金を減らす (資産−の逆で+)

(借) 貸倒引当金 1,000,000      (貸) 貸倒引当金戻入  1,000,000

別のパターンで見てみると、

貸し倒れたときの仕訳
カーショップ「買った人の事業が倒産! 買った人は夜逃げ!全額は回収できなかったー」
それでも60%は回収できた。回収できなかった貸し倒れ金額は777万円の40%にあたる¥3,108,000。

売掛金 減(資産−)。貸倒引当金 減(資産−の逆で+)。
「損失予想(貸倒引当金)は¥2,331,000」だったので、それより損してしまい、用意していた貸倒引当金ではたりない。→貸倒損失(かしだおれ そんしつ)費用+

(借) 貸倒引当金  2,331,000      (貸) 売掛金  3,108,000
     貸倒損失      777,000

それから一年たち、夜逃げした人がひょっこり現れ、¥1,000,000返してくれた。
→償却債券取立益(しょうきゃく さいけん とりたてえき)収益+、現金(資産+)

(借) 現金 1,000,000      (貸) 償却債券取立益  1,000,000


(・∀・) むずかしい……


(○-○) 貸倒引当金繰入は「損失予想費用」(←)で、貸倒引当金は「損失予想資産マイナス」(→)だ。
貸倒引当金戻入と償却債券取立益は「損失予想が外れた収益」(→)。
貸倒損失は「実際の損失費用」(←)。


貸倒引当金は資産がマイナスすることを予想して、あらかじめ資産からマイナスするための、「マイナスの資産」だな。普通の資産がお金を増やすためのものとすれば、引当金は「資産を使わせないためのもの」というか……。


(・∀・) テキストに「差額補充法」ってあったけど……


(○-○) ほかの方法があるわけじゃないのでその言葉は気にしなくていいぞ。
それは単に、去年の貸倒引当金が¥20,000残っていた場合、今年の貸倒予想額を¥100,000にしたいなら、去年のも使って、今年は貸倒引当金¥80,000にしておく→合計では¥100,000になるぞ、って方法だよ。