NTEmacs22の設定

NTEmacs(エヌティー・イーマックス) とは、テキストエディタEmacsWindows版の呼び名です。ソフト名はNTの付かない、単なるEmacsです。


日本には、フォントの扱い・日本語入力(IME)・インストール方法などを改良した Meadow(メドゥ)が以前からあります。


しかしNTEmacsのバージョン22では、「IMEを使用したとき日本語をインライン入力できない問題を修正した日本語版NTEmacshttp://ntemacsjp.sourceforge.jp/matsuan/IndexJp.html が作成されました。



MeadowNTEmacsを起動したところ。元になっているEmacsのバージョンは22.1で同じ。



どちらがいいんでしょうか。Meadowも常用していますが、NTEmacsのほうはホンモノの Emacsということもあり、こちらも使ってみます。


インストール

Cygwinユーザなので、配布ページの説明どおり /usr/local 以下に解凍しました。

$ cd /usr/local
$ tar jxvf /cygdrive/c/home/emacs_22.1_bin_20070630.tar.bz2


環境変数 HOME を C:\home に設定する。
環境変数 PATH に C:\cygwin\usr\local\emacs\22.1\bin を追加する。
設定ファイル .emacs を C:\home.emacs に置く。


起動するための2つの方法

  1. Cygwinシェルで
    emacs -rv &
  2. C:\cygwin\usr\local\emacs\22.1\bin\runemacs.exe のショートカットアイコンを作る。 そのアイコンのプロパティを開いて、リンク先に ' -rv' を追加する (これをすると黒背景・白文字になる)。 「作業フォルダ」に C:\cygwin\bin を指定する (これをしないとEmacs起動時に mount.exe not found エラーが出る)。 そのアイコンをダブルクリックしてEmacs起動。

フォント


c:/cygwin/usr/local/emacs/22.1/site-lisp/fixed-width-fontset/ntemacs-font-sample.el を見てフォントを設定しました。以下の設定で Meadowとほぼ同じにできました。

;; フォント設定例(TrueType を使う場合)
;; http://homepage.mac.com/matsuan_tamachan/emacs/NtemacsFont.html
(setq scalable-fonts-allowed t)
; M-x list-faces-display の文例
(and (boundp 'list-faces-sample-text)
     (setq list-faces-sample-text
           "abcde ABCDE 01234 あいうえお アイウエオ 日本語だよ"))
;; use X-style font-select-dialog
(setq w32-use-w32-font-dialog nil)
;; bold, slant
(setq w32-enable-synthesized-fonts t)
;; 等幅補正をOFF
(setq fixed-width-rescale nil)

;; refer c:/cygwin/usr/local/emacs/22.1/site-lisp/fixed-width-fontset/ntemacs-font.el
(require 'ntemacs-font)
(defvar ntemacs-font-encode-family-list-verdanamplus
  '((ascii . "Verdana")
    (latin-iso8859-1 . "Verdana*")
    (japanese-jisx0208 . "BDF M+*")
    (katakana-jisx0201 . "BDF M+*")
    (chinese-gb2312 . "Arial Unicode MS*")
    (chinese-big5-1 . "Arial Unicode MS*")
    (korean-ksc5601 . "Arial Unicode MS*")
    (mule-unicode-0100-24ff . "Arial Unicode MS*")
    (mule-unicode-e000-ffff . "Arial Unicode MS*")))
(fixed-width-create-fontset "verdanamplus"
                             ntemacs-font-defined-sizes
                             ntemacs-font-encode-family-list-verdanamplus)

;(set-default-font "fontset-verdanamplus")
(add-to-list 'default-frame-alist
             '(font . "fontset-verdanamplus")
)
(add-to-list 'default-frame-alist
             '(ime-font . "-*-BDF M+-normal-r-normal-normal-12-*-*-*-*-*-jisx0208-sjis")
)

NTEmacsMeadowのフォントの差異

  • 行間が Meadowのほうが狭い。(設定で変えられるのかは不明です)
  • NTEmacsは一部でボールド体(太字)が使われています。同じところでもMeadowだとボールドになっていません。



MeadowNTEmacsで同じメールを表示した。文字色は異なっているが設定すれば同じにできる。


Mew 5.2 のインストール

Cygwinコンソールでインストールします。

$ wget http://www.mew.org/Release/mew-5.2.tar.gz
$ tar zxvf mew-5.2.tar.gz
$ cd mew-5.2/
$ ./configure --help
$ ./configure --prefix=/usr/local/emacs/22.1 --with-emacs=/usr/local/emacs/22.1/bin/emacs.exe --with-elispdir=/usr/local/emacs/22.1/site-lisp/mew-5.2 --with-etcdir=/usr/local/emacs/22.1/etc
$ make
$ make info
$ make jinfo
$ make install
$ make install-jinfo


メール受信、送信ともに問題ないですねー。 設定はMeadowとまったく同じです。


気がついたこと


組み込まれている cygwin-mount.elは、 Cygwin使ってると、ファイルPATHに /usr/localと入力すると、自動的に C:\cygwin\usr\local に変換してくれる機能のようです。


Unicodeの設定はMeadowと同じでよいみたいです。


MeadowNTEmacsを比較


動作スピードはどっちも速いし軽いです。NTEmacsのほうが きもち軽い気もする。 アイコンは NTEmacsのほうがカッコいい。


インストールに関しては Meadowのほうがずっと簡単です。Mewmigemoも自動的にインストールできてしまうのが便利。


日本語の扱い(フォント・IME)に関しては、 以前は NTEmacsより Meadowのほうが よかったのですが、 最近のNTEmacsMeadowとほぼ同じくらい日本語の扱いがよくなりました。


と思っていたら、日本語入力に問題を発見。


NTEmacsの再変換問題

MS-IMEでは日本語変換を確定した直後に Ctrl + BackSpace で変換し直しができる (再変換) 機能があります。


これは Meadow-3.00だと直前に変換した語句だけが変換状態になり、何の問題もなく動作します。


NTEmacs 22.1 だと、直前に変換した語句より前までカーソルが戻り、入力した語句が一部消えてしまうという問題があります。 これは危険な挙動です……。 (WindowsXP + MS-IME2003 で確認)



MeadowNTEmacsの再変換の挙動



私はこの機能をかなり使っているので、Meadowのほうを今は使用しています。