簿記の学習(4)

(・∀・) 簿記とは貸借対照表(B/S)とか損益計算書(P/L)などを作る技術って聞いたお。……なら B/S はどう作るんだお?


(○-○) (1)取引するたびに記録するんだ。 そして (2)あとでその記録をまとめる。それで B/S や P/L を作れるぞ。
まずは、(1)取引するたびにとらなくちゃいけない記録のことを覚えようぜ。
それを 仕訳(しわけ) っていうんだ。


(・∀・) どういうのか例を見たいお。


(○-○) ……じゃあ、やる夫の会社が現金でパソコンソフトを売ったとする。
そのときの仕訳はこうなる。

(借) 現金  9,800       (貸) 商品  9,800


(・∀・) 分からないことがいろいろ……。
まず、やる夫の会社って何だお。


(○-○) 簿記で B/SやP/Lを付けるのは、会社のためにやるんだ。会社が払う税金額を決めるのにB/S、P/Lは使われるんだ。
個人事業の場合も、仕事の財布と個人の財布を分けて、仕事の財布だけでB/SやP/Lを作るんだ。


(・∀・) いきなり難しいこと言うなお。
個人事業って何だっけ?


(○-○) 会社に属さず、個人で働いている人だよ。
自営業の八百屋とか小さな本屋とか、
フリーのライターとかイラスト描きとかな。


(・∀・) ……で、仕事の財布と個人の財布を分けるのはなんでだお?


(○-○) 所得税は仕事の稼ぎから引かれるものだからな。分けないと税額が計算できないから、分けてるんだ。
日商簿記3級では、個人商店レベルの簿記の付け方を学ぶんだ。
この後も、「パソコンソフト販売のやる夫商店」があると仮定して、簿記を覚えることにしようぜ。


(・∀・) パソコンゲームソフトの販売ならまかせるお。
これまで身銭を切って数々のゲームを買い求めた結果、売れるゲームが直感的に判断できるようになっているんだお。


(○-○) ほう。


(・∀・) で、仕訳の「(借) (貸) 」ってなんだお?


(○-○) 仕訳をつけるときは、左側(←)を「借方(かかた)」、右側(→)を「貸方(かかた)」って呼ぶんだ。
(借) (貸)はそれを簡単に書いたものだよ。


(・∀・) で、この仕訳は商品を9800円で売って、現金9800円を受け取ったっていう意味なわけか。
商品は右側……貸方に書かなくちゃならないのかお?


(○-○) よく聞いてくれ。これが簿記3級で一番重要なところだ。

B/Sで「資産・負債・資本」、P/Lで「費用・収益」ってあるだろ。

「資産」「費用」が左(←)、つまり簿記でいう借方にあるよな。
「負債・資本」「収益」が右(→)、つまり貸方にある。
この右と左には意味があるんだ。

簿記の世界では、どんな取引もこの「資産・負債……」の5つのどれかが
増えたとか減ったというふうに考えるんだ。


「商品を9800円で売って」→商品(資産)が減少した
資産が減った場合は、右(→)に「商品 9,800」書く。

「現金9800円を受け取った」→現金(資産)が増えた
資産が増えた場合は、左(←)に「現金 9,800」書く。


なんで資産が増えた場合左(←)に書いて、減ったら右(→)に書くかというと、B/Sでは資産が左(←)に書いてあるだろ。
左(←)にある「資産・費用」が+(プラス)になったら左(←)に書くというのがルールなんだ。
−(マイナス)になった場合は反対側の右(→)に書く。


(・∀・) ……ふーん……。


(○-○) やってるうちに覚えるからな。あとで練習問題をしよう。


(・∀・) 売ったソフトウェアが「商品」になってるけど、ソフトの名前は記録しなくていいのかお?


(○-○) 仕訳には記録しなくてもいい。
この「商品・現金……」は勘定項目(かんじょう こうもく)と呼ぶんだ。どんな勘定項目も「資産・負債・資本・費用・収益」の5つに含まれるんだ。現金なら「資産」に含まれる、とか決まってる。