簿記の学習(8) 売掛金、手形貸付金、受取手形、未収金

(○-○) さて「収益・負債・資本」をやったから、今度は「資産」の勘定項目を見ていこう。


(・∀・) ようやく右(→)の貸方から、左(←)の借方に移動したお。

資産の勘定項目

(○-○) 費用の勘定項目には以下のものがあるな。

「現金」はいいとして……。
売掛金(うりかけきん)」は商品を販売して手渡したけど、代金は月末払いとかでまだ回収できてない、という状態のときの「代金を受け取れる権利」だな。


「¥5,800のPCゲームソフトを10本、掛けで販売した。代金回収はまだである」
売掛金つまり代金請求の権利は資産+。販売については売上(収益+)に計上する。

(借) 売掛金  58,000      (貸) 売上  58,000


「支払い期日になり、掛け代金を現金で受け取った」
代金請求の権利は消滅して資産−。現金入手は資産+。

(借) 現金  58,000      (貸) 売掛金  58,000


(・∀・) さっき、商品を渡してないときは売上に計上しないって言ったお。でも上の例では現金受け取る前に売上に計上してて問題だお。


(○-○) 前受金のときは、商品を渡して初めて売上に計上するって言ったよな。今回は「商品は渡してるが代金をもらってない」からまだ完了してないと思うかもしれないが、売掛金や手形みたいに現金以外であっても対価をもらえば売上に計上していいんだ。


(・∀・) ふーん……。あと売掛金と買掛金ってややこしいお。ごっちゃになる。


(○-○) 売掛金は「売りかけ」って思えばいいんだ。「僕はお客さんに商品を手渡した。そして代金をもらおうとしたら彼女が話しかけてきた。今は売りかけているところなんだ……後で話しを聞くよ、と彼女に言った」みたいな意味で「売りかけている」だろう?
同様に買掛金も「買いかけている」んだ。「商品をうけとったが財布が見つからない。家に置いてきたか? 買いかけの状態で彼女に電話をかけて財布を持ってきてもらった」みたいな意味で。


(・∀・) ふーん……。


(○-○) 貸付金も「後でお金を請求できる権利」だな。お金を貸して、あとで利息と返済金を受け取ることができる。
手形貸付金は現金を貸したとき、借用証書ではなく約束手形を受け取る形態だな。


「現金を¥200,000貸して、担保として手形を受け取った」
手形貸付金は資産+。

(借) 手形貸付金  200,000      (貸) 現金  200,000


「¥200,000と利息(年利率6%、期間6か月)を現金で返済してもらいました」
受取利息は収益+。

(借) 現金  206,000      (貸) 手形貸付金  200,000
                             受取利息      6,000


(・∀・) ……。


(○-○) 「受取手形」は商品を渡して、「お金は後で払います」という約束手形を受け取ったときの「あとでお金を請求できる権利」だな。


「商品¥150,000を渡して、約束手形を受け取った」
現金でなくて手形でも、受け取れば売上にできるんだったな。

(借) 受取手形  150,000      (貸) 売上  150,000


「決済期日になり、手形代金を受け取った」
手形代金の決済は当座預金に入るんだった。

(借) 当座預金  150,000      (貸) 受取手形  150,000


ところで約束手形を発行した人(「後で払いますから〜」と約束して支払いを待ってもらう人)は「振出人」または単に「支払人」という。約束手形の画像 http://www.nihonbussan.com/yakusokutegata.html を見ると「振出人」と書いてあるだろう。
支払いを待って後で支払ってもらう人を「受取人」というが、名宛人(なあてにん)・指図人(さしずにん)ともいうらしい。


為替手形の場合は「振出人」「受取人」のほかに支払人がいる。
為替手形三者間取引だからややこしいんだが、

  • 為替手形を振り出す人 振出人
  • 支払いする人 支払人 (引受人・名宛人) 支払いを引き受ける人
  • 支払いを受け取る人 受取人 (指図人) 代金受取を指定された人

為替手形の見本 http://www.h5.dion.ne.jp/~mland/kawasetegata.htm を見ると、この3者の関係が分かるな。


(・∀・) 「名宛人」とか「指図人」は見本画像見ても乗ってない呼称だお。


(○-○) まず振出人を覚えよう。


「やる夫商店は為替手形を振り出して(発行して)、B商店への買掛金をA商店に支払ってもらう」
買掛金は「買いかけ」でお金を払っていない→負債。
売掛金は「売りかけ」でお金をうけとっていない→資産。
それが相殺されて どちらもなくなるのだから、どちらもマイナスになる。

(借) 買掛金  150,000      (貸) 売掛金  150,000

「振出人」の場合はこれで取引は終わりだ。あとは支払人と受取人のやりとりになる。


やる夫商店はA商店に支払を引き受けてもらった。
「A商店は支払いを引き受けた。」
支払人(引受人)のA商店はやる夫商店に買掛金(負債)があったがそれが消える。そのかわり為替手形の金額をB商店に支払う義務(負債)ができた。

(借) 買掛金  150,000      (貸) 支払手形  150,000

「A商店は支払期日に手形代金を決済した」
支払い義務が消え(負債−)、当座預金が減った(資産−)。

(借) 支払手形  150,000      (貸) 当座預金  150,000


「支払人」はこれで終わりで、「受取人」は以下になる。

やる夫商店はB商店を受け取る人に指定した。
「B商店は受取を指定された。」
受取人(指図人)のB商店はやる夫商店に売掛金(資産)があったがそれが消える。そのかわり為替手形の額面を受け取る権利(資産)ができた。

(借) 受取手形  150,000      (貸) 売掛金  150,000


「B商店は支払期日に手形代金を受け取った」
請求権は消えたが、当座預金が増えた。

(借) 当座預金  150,000      (貸) 受取手形  150,000


(・∀・) ややこしいことだお。


(○-○) 練習問題すれば問題ない。


「やる夫商店は2ヵ月後に現金化できる手形を持っているが、今月の家賃を払うために今すぐ現金化したい」
という状況があったとする。手形を決済期日前に現金化するには銀行に手形を買い取ってもらうことだ。
ただしその場合額面より安く買い叩かれる。


「やる夫商店は額面¥500,000の約束手形を割り引き、割引料¥6,000を差し引かれた額を当座預金にした。」
このまま持っていれば¥500,000もらえるはずの「受取手形」が銀行に売り払ってなくなるので、資産−。割引料は「手形売却損」という費用+。当座預金が増えて資産+。
割引料は、割引率 年7.3%とすると、500000yen×7.3%×60日/365日 で計算できる。

(借) 当座預金  494,000      (貸) 受取手形  500,000
     手形売却損  6,000


手形の裏書譲渡については、さっきのページ http://www.nihonbussan.com/yakusokutegata.html をまた見てくれ。裏書きしている画像がある。


仕入先から商品¥100,000を仕入れて、その代金支払いのため、仕入先に手形を譲渡した。」
手形を譲渡すると、「手形でお金を受け取れる権利」(資産)がマイナス。その代わり仕入(費用)+。

(借) 仕入  100,000      (貸) 受取手形  100,000

譲渡されたほうは「手形でお金を受け取れる権利」を得た(資産+)。商品を渡して対価を受け取ったので売上も計上(収益+)。

(借) 受取手形  100,000      (貸) 売上  100,000


当座預金」は小切手や手形と使われるんだったな。
「前払金」は予約金、手付金のことだな。先払いしたときの「あとで商品を受け取る権利」。


「未収金」は売掛金と近い。商品を渡して代金を後日受け取るときの請求権が売掛金だが、「商品以外の物品」を渡して代金を後日受け取る権利が未収金だ。

「やる夫商店の店舗拡大のため、土地を売却した。代金は月末受け取りにした。」
土地の扱いは