簿記の学習(10) 約束手形・為替手形の名宛人とか指図人などを画像で

(・∀・) 手形の名宛人とか指図人とかがよく分からんお。


(○-○) わかりやすいように、図を作ってみた。

約束手形(やくそく てがた)

やる夫が 振出人(ふりだしにん)。振出人ってのは「手形を振り出した(発行した)」人のことな。つまりこの手形に記入したのは、やる夫ってことだ。

やらない夫が 受取人(うけとりにん)。お金を受け取る人だ。
だが、たとえばやらない夫がダディに手形を裏書譲渡(うらがき じょうと)したら、ダディが受取人になるぞ。

支払人はお金を支払う人で、ここでは やる夫だな。

名宛人(なあて にん)ってのは手形証書の上のほうに「〜殿」とか「〜宛」と書いてある人のことだよ。


(・∀・) この見本の「振出人やる夫」っていうのは名前か?


(○-○) 「振出人」が姓で「やる夫」が名だ。分かりやすくしたつもりだが……。


仕訳の例)
受取人やらない夫は…… 受取手形を受け取る。

    商品¥1,000,000ぶんを販売して、約束手形を受け取った。
    (受取手形→資産+、あとでお金受け取る権利を得たから)
(借) 受取手形  1,000,000      (貸) 売上  1,000,000


    手形代金を受け取った。
    (手形代金の受け取り→当座預金で支払われるので増加)
(借) 当座預金  1,000,000      (貸) 受取手形  1,000,000


振出商店の振出人やる夫は…… 支払手形が増加する。

    商品¥1,000,000ぶんを仕入れ、約束手形を手渡した。
    (支払手形→負債+、あとで支払う義務をおったから)
(借) 仕入  1,000,000      (貸) 支払手形  1,000,000


    決済期日に手形代金を支払った。
    (手形代金の支払い→当座預金の減少(資産−))
(借) 支払手形  1,000,000      (貸) 当座預金  1,000,000


こういう方向の手続きだ。

受取人  (借)受取手形(資産+) xxxx   (貸) XXXX xxxx

     ┌
        \
          \
           振出人  (借)XXXX xxxx   (貸) 支払手形(負債+) xxxx

為替手形(かわせ てがた)

やる夫が 振出人(ふりだしにん)。この為替手形に文字を書き込んだ(=発行した=振り出した)のはやる夫だからな。
やらない夫が 受取人。受け取りを指図されたってことで……指図人とも呼ぶ。

オプーナが支払人だ。支払いを「引き受けた」人なので 引受人(ひきうけにん)とも言うぞ。


仕訳の例)


受取人やらない夫は…… 受取手形を受け取る。

    為替手形で指図人になった。
    やる夫への売掛金が消滅(資産−)。
    オプーナへの受取手形が増加した(資産+)。
(借) 受取手形  3,000,000      (貸) 売掛金  3,000,000


    手形の決済日に、オプーナが やらない夫に手形代金を支払った。
    受け取り権利は消滅(資産−)。当座預金が増加(資産+)。
(借) 当座預金  3,000,000      (貸) 受取手形  3,000,000


引受人オプーナは…… 為替手形を引き受けると、支払手形が増加する。

    為替手形を引き受けた。
    やる夫への買掛金が消滅(負債−)。
    やらない夫への支払手形が増加した(負債+)。
(借) 買掛金  3,000,000      (貸) 支払手形  3,000,000


    手形の決済日に、オプーナが やらない夫に手形代金を支払った。
    支払い義務は消滅(負債−)。当座預金が減少(資産−)。
(借) 支払手形  3,000,000      (貸) 当座預金  3,000,000


振出商店の振出人やる夫は…… 為替手形を振り出すと、売掛金が減る。その代わりに仕入できたり買掛金を減らしたりできる。

    買掛金(債務)¥3,000,000 を やらない夫に支払わなくては!
    現金の手持ちはない。オプーナには売掛金(お金を受け取れる権利)がある。
    オプーナから回収してそれを やらない夫に支払う代わりに、
    為替手形を振り出した。
    (やらない夫への買掛金が消滅(負債−)、オプーナへの売掛金が消滅(資産−))
(借) 買掛金  3,000,000      (貸) 売掛金  3,000,000


    手形の決済日に、オプーナが やらない夫に手形代金を支払った。
仕訳なし


こういう方向の手続きだ。

受取人  (借)受取手形(資産+) xxxx   (貸) XXXX xxxx

  ┌
     \
      引受人  (借)買掛金(負債−)or仕入(費用+) xxxx   (貸) 支払手形(負債+) xxxx

           ┌
              \
                \
                  振出人  (借)XXXX xxxx   (貸) 売掛金(資産−)or売上(収益+) xxxx


(・∀・) なあるほど。引受人が支払手形なのか。
ところで画像の支払期日の 11月16日って何だお?


(○-○) 簿記検定の試験日だよ!その日に備えて勉強してるんだ。でもあんまり勉強に気が乗らなくてな……。

ところで、またTACのセミナーを受けたんだよ。


(・∀・) ほう。


(○-○) 今度は渋谷校に行ったんだが、ここは大学生みたいな男が多かったな。日曜だったからかな。模擬試験のパンフレットを探したんだけど、なかったよ。


(・∀・) 何の授業だったんだ?


(○-○) 日商簿記2級の商業簿記と工業簿記それぞれの入門講座さ。

今、日商簿記3級の勉強してるだろ? 2級の商業簿記は3級より少し範囲が広くなるんだが、具体的にどうちがうのか? それは3級が個人商店の会計で、2級は株式会社の会計ってことなんだ。

だから会社で働いてる人なら2級の知識こそが役に立つし、株に投資する人も2級の知識がないと投資する会社を判断できないし、新聞に載ってる経済ニュースも2級の知識があればよく意味が分かるんだ。


(・∀・) でも やらない夫個人事業主だお。


(○-○) そうなんだよ。個人的には3級の知識があると確定申告のときの申告書作りに役に立つというか、まさに確定申告の帳簿作りこそが3級で習うことだからな。3級は今学ぶ意味があるんだが、2級は今は学ぶ意味が直接にはないんだ。将来使えるかもといえばそうなんだけど。


(○-○) で2級の商業簿記は株式会社の会計なんだが、以下のような違いがあるって聞いたんだ。

  • 資本金の扱いがちがう。3級では資本金を出した人=経営者なのでいくらでも変更できるが、2級では資本金を出した人は株主で経営者と別の人で、資本金額を自由に減らせないし、資本金を減らすことは法律上まずいので純資産は3つに分けて……とか聞いた。
  • 利益をどうするのかがちがう。利益は経営者としては給与のボーナスとしてうけとりたいし、株主としては配当で還元してほしい。そこで株主総会で相談する……とか言ってた。

2級の工業簿記は「仕入れ→加工→売上」という流れで、「加工(製造)」という工程がある点が商業簿記と違い、その加工のところでお金がかかるので、原価計算をするってのが工業簿記の勉強の大部分を占めているのだ……と聞いた。


(・∀・) 2008/11/16までにその勉強全部できるのかお?


(○-○) 一人だと難しいかな……。