簿記の学習(19) 土地・備品、手形の割引、仮払金、租税公課、引出金

(○-○) 土地とか備品の売り買いを学ぼう。
ソフト販売商店にとって土地とか備品とか売買目的有価証券は、商売する上で必要だが「商品(販売用)」ではない。だから帳簿での扱いが異なってくるんだ。


(・∀・) ふーん。


(○-○) 商品は「仕入」「売上」勘定だが、土地・備品にはその勘定が使えない。

売った代金を後で回収するのは商品の場合 売掛金 勘定を使うが、
土地・備品の場合は「未収金(みしゅうきん)」を使う。

買った場合は 買掛金 ではなく「未払金(みばらいきん)」を使うんだ。


いい土地を見つけたので¥1,500,000で購入した。代金は来月末にまとめて払う。(土地→資産+、未払金→負債+)

(借) 土地  1,500,000      (貸) 未払金  1,500,000


来月末になったので、代金を現金で払った。

(借) 未払金  1,500,000      (貸) 現金  1,500,000


いい条件で売れることが分かったので、土地を売却した。代金は月末に受け取る。(未収金→資産+、土地売却益→収益+)

(借) 未収金  2,000,000      (貸) 土地       1,500,000
                                 土地売却益  500,000 


月末に、代金を小切手で受け取った。

(借) 現金  2,000,000      (貸) 未収金       2,000,000


(・∀・) 小切手受け取ったときは、現金勘定が増えるのでいいんだっけ?


(○-○) 小切手のほかにも、通貨代用証券(つうか だいよう しょうけん)といわれているものは「受け取ったとき」は現金勘定で処理するんだ。
通貨代用証券を具体的にいうと、「小切手・郵便為替証書・株式配当金領収書」などだ。

ちなみに小切手を「振り出して支払った」ときには当座預金が減るという勘定になるからな、注意だな。



(○-○) 次は手形の割引を学ぼう。


(・∀・) えっ、5割引で買える?


(○-○) ちがうぞ。手形を銀行に引き取ってもらうことだ。手形の満期日が来るより前に現金に変換してもらえるのだが、ほんらいの値段より安く買い叩かれてしまうんだ。



額面300万円の約束手形(満期日11月16日)を10月8日に、割引率 年7.3%で、割り引いた。
その割引料を引いた額を当座預金にした。

銀行に差し引かれる割引料: 3,000,000 × 7.3% × ((31-7 + 16)÷365) = 24,000

(借) 当座預金   2,976,000      (貸) 受取手形       3,000,000
     手形売却損    24,000


(・∀・) 31-7 + 16 ってどういう意味?


(○-○) これは 10月8日〜11月16日は何日あるかを調べる計算式だよ。
10月は「31日」あるだろう? そのうち 10月1日〜10月7日の「7日間」は利息が取られない。10月8日〜10月31日は利息が取られる。あと11月1日から11月16日の「16日間」も利息が取られる。→ 計40日利息を取られるということがわかる。

割り引いた日(10月8日)も満期日(11月16日)も利息が取られるので、こういう計算になるんだ。


(○-○) あと40日か……。


(・∀・) あと40日で簿記検定だね。2級と3級両方受けるの?


(○-○) いや3級だけ申し込んだ。


(・∀・) 賢明だね。じゃあ、まだ余裕あるよね。


(○-○) ……次は仮払金(かりばらいきん)だ。

取材旅行に行く社員に、旅費の概算額¥200,000を現金で持たせた。(仮払金→資産+、現金→資産−)

(借) 仮払金  200,000     (貸) 現金  200,000

帰社した社員に聞いたら旅費は120,000で済んだそうだ。残金は返してもらった。(旅費→費用+)

(借)   旅費 120,000     (貸) 仮払金  200,000
       現金  80,000


(・∀・) 仮払金が資産? お金を払って手に入れた資産? 腑に落ちない。


(○-○) 「まだ使ってない」→「まだ資産のまま」という扱いなのかな?


(○-○) 次は租税公課(そぜいこうか)だ。
これは税金を納税したときの費用だよ。収入印紙を買ったときも租税公課
このポイントは、「所得税租税公課に入らない」ということだな。ほかにも住民税も入らない。


(・∀・) 何で費用に入らないんだろうね。


(○-○) それは簡単な理由だ。損益(収益/損失=費用)の額から所得税額が決まるのに、その損益額に所得税額を含めていたらおかしいだろう? 計算が入れ子になってしまう。住民税額も所得税額から決まるから含めないんだ。


(・∀・) じゃあ所得税を納めたときは、どの勘定項目を使うのさ?


(○-○) 「店の」金で納税したときは、引出金(ひきだしきん)を使う。

所得税を200万円、現金で納税した。(引出金→純資産−)

(借) 引出金  2,000,000     (貸) 現金  2,000,000


(・∀・) 純資産マイナスってはじめて見た。


(○-○) 「引出金」じゃなくて「資本金」を使うこともあるぞ。

店の金を私用で使ったときは純資産をマイナスするんだ。
といっても、実際に個人事業主が私用にお金を使うとき(所得税を納税したり個人の食費として使ったり)は「事業主貸」って項目を使うんだが……これは簿記3級では出ないみたいだ。


ちなみに「従業員に給料支払うときに、源泉所得税社会保険料(従業員負担分)を差し引いた」場合は、従業員の所得税を一時的に預かっているだけ(後で税務署に支払う)だし社会保険料も別の場所に払うものなので、「預り金(→)」を使う。