ローマ字入力じゃなくてもいいじゃない。英語キーボードじゃなくても
以下のブログに反論する形で、英語キーボードと「かな入力」について思うところを語るぞ。
- JISキーボードという喜劇 - コデラノブログ 3
http://b.hatena.ne.jp/entry/blogmag.ascii.jp/kodera/2009/03/24145214.html - コデラノブログ4 : 日本のカタチ(2)
http://blog.livedoor.jp/nob_kodera/archives/918940.html
このブログ記事には何が書いてあるの?
次の2点だな。
国際社会の一員となれば英語を使う機会が増えるから……
それでは反論してみよう。
日本語キーボードではなく英語キーボードを使うべき?
「(1)日本語キーボードではなく英語キーボードを使うべき」という主張については……
以下のサイト見てもらえば分かるけど、国際社会では「英語キーボード」(US English)以外のキーボードがたくさん使われている。
http://msdn.microsoft.com/en-us/goglobal/bb964651.aspx
同じ英語を使うイギリス(United Kingdom)にしてからが、アメリカとちがうキーボード使っているし、フランス(French)やドイツ(German)なんてアルファベットの位置がちがうんだぞ。
「国際社会の一員」とか言いながら、実は元記事は「日本は米国のPC文化に従属するべき」と言っているにすぎない。
まあ確かに現在はAppleもMicrosoftもアメリカにあるけど、アメリカだけが国際社会じゃない。
世界を舞台に考えたとき、かなキーボードでしか文字が入力できない人材を育成しても無駄である。ローマ字による子音、母音の入力方法は、言語学的にも合理性が高く
とか言ってるが、ローマ字入力であってもフランスやドイツのキーボードでそのまま入力できるわけじゃないんだ。
英語キーボードは、アルファベットの配置が日本語キーボードと同じなので、日本語かな漢字変換を準備して設定変更すればローマ字入力できるだろう。
でも英語キーボードで「かな入力」することもできるから、ローマ字入力と同様の手順で「かな入力」できてしまうんだ。(以下の画像は WindowsXP/2000+MS-IME の場合)
ようするに、元記事は「かな入力を学ぶのはムダでローマ字入力を学ぶと将来役に立つ」と言っているんだが、それはまちがいだ。外国でも「かな入力」できるからムダじゃないよ。
ところでオレは英語キーボードと日本語キーボードをどちらも使った経験があるんだ。
何年くらい?
1996年〜2004年は英語キーボード配列でローマ字入力していて、2004年から日本語キーボードに切り替えたんだ。親指シフト配列を使ってみたくて変えたんだけど、今は「かな入力」している。
それで思ったんだ。
「日本語キーボードより英語キーボードのほうがいい。本場で使われている本物だから。日本語キーボードはニセモノだからダメ」という意見があるじゃん。
オレもその意見に影響されて英語キーボード使っていたわけだけど。
日本語キーボードに切り替えて、「英語キーボードがエラいなんてウソだった」て思った。
英語キーボードしか使えない、って自慢できることじゃないよね。不便を自慢してどうする。日本で売っているパソコンはほぼ全部日本語キーボードがついてるし、公共機関でも日本語キーボードのばっかりでしょ。
ただしプログラマの立場で言うと、記号類の配置は英語キーボードのほうがちょっと良いと思う。「'」「"」が同じキーのシフトで打ち分けできるしホームポジションに近い。「- 」「_」も同じキーで分かりやすい。あと、Enterキー、BackSpaceキーや右Shiftキーが近いのも利点だな。
でも日本語キーボードは「無変換」「変換」が親指の押しやすい位置にあって、これが英語キーボードの細かな利点を消し去ってしまうほどに良い。これに好きな機能割り当てるとすごくべんりなんだよ。オレは日本語入力OFFとONに割り当ててるんだ。
英語キーボードにはこれがなくて不便だと思うぜ。
今でも英語キーボードと日本語キーボード、両方使える?
英語キーボードの配置は忘れかけてる。でも日本語キーボードと英語キーボードの大きな違いって、記号類の配置だけだし、記号なんてキー見て押せばいいんだよ。
小学校低学年からローマ字入力を教えるべき?
「(2)日本語の入力環境としては、小学校低学年から『ローマ字入力』を教えるべき」という主張については?
キミは「かな入力」してるんだよね。じゃあ小学校低学年には『かな入力』を教えたほうがいいと思ってるの?
いきなりローマ字教えるよりはずっといいと思う。日本語書くためにローマ字必須なんておかしいよ。
少なくとも、アルファベットのキー配置と結びつけてローマ字入力を教えるのはやめたほうがよい。英語の「keyboard」とローマ字の「ki-bo-do」がまざって混乱するからだ。オレがローマ字好きじゃないのはこれのせい。
ローマ字入力教えるなら、「k(ケイ)」のきーっていうんじゃなくて「か行」のキー、「a(エイ)」のキーじゃなくて「あ段」のキー、と教えれば、混乱せずにすむと思う。
ただローマ字入力は「ん」や「っ」を入力するときにどうしてもアルファベットのつづりを意識しなくちゃいけないのがイヤだよな。「ん」を xn 、「っ」を ltu で入力すればつづりを意識せずにすむと言われてるけど、こんなの学校で習う「ローマ字」じゃないしさ。
ふむふむ
でも、かな入力もあまりオススメするわけじゃないんだ。
すでに中学1年の段階で、携帯電話所持者の6割以上が、手で書くよりも携帯で文字を入力したほうが早いまたは楽だと答えている。
ってあるけどさ、ケータイの入力のほうがパソコンのキーボード入力よりいいとオレは思ってるんだよ。
ローマ字つづり意識しなくていいし、片手で入力できるし。
へえ、パソコンの「かな入力」はおすすめじゃないんだ?
パソコンの「かな入力」はいくつか欠点があるんだ。オレが3年「かな入力」を使って実感していることなんだけど……
片手で入力しにくい。
かな入力は「かな」と「キー」が一対一対応してるから、片手入力しやすそうに予想できるじゃないか?でも実際にはローマ字より片手で押しにくい。これは使い勝手という点でも、ユニバーサルデザインの観点からも問題だと思う。
具体的に言うと、「゛」の位置が遠くの端っこにあって、手の移動距離が多いんだ。「だいじょうぶですよ」を片手で入力してみろ。キーボードを何往復しなくちゃいけないの?と思うよ。
あとシフトキーとの同時入力が必要な文字が「っ」を除いて、シフトキーから最も遠い場所に配置されててな……。「ゃ」「ゅ」とか子供だと片手じゃ押せないよ。
覚えにくい。
かな入力は「キー配置を覚えやすいように」という観点で文字配置されているんだ。「あいうえお」「たちつてと」などが隣り合わせに配置されているだろう?
でも実際には覚えにくい。
理由は以下だ。
- その「あいうえお」のひとかたまり の配置がバラバラで、結局わかりやすくなっていない
- かたまりから外れた文字も多い (「け せ ぬ ね ふ へ ほ む め ろ ん」はバラバラの配置)
- キー配置が近すぎると逆に入力しまちがう確立が高まる
ローマ字入力でも、実はアルファベットの配置もある程度、「キー配置を覚えやすいように」隣りあわせで配置されている(C〜Nまで隣り合わせ)けど覚えにくいという事情は同じだ。しかし覚える文字数が少ないので、かな入力よりはラクなんだ。
指使い(運指)が最適化(効率化)されていない。
パソコンで日本語入力するのがケータイより有利なのは、スピード面だ。両手のすべての指を駆使して入力できるから、早い。
しかし「かな入力」はスピード面、運指面で不利な点がある。
- 使用するキーの範囲が広すぎる。
- とくにEnterキー周辺(右手小指あたり)の文字は、遠いため打ち分けが難しくミスタイプを誘発したり、同じ指で連続して別のキーを押す必要があるためスピードが落ちるなどの問題あり。
- キー配置が現代日本語の文字使用別頻度にあっていないため、より最適化された配列とくらべてタイピングスピードが劣る
運指が最適化されていないのはローマ字入力でも同じだがな。
覚えやすくもない、効率もよくない、と。
といっても効率はそんな大げさに考えなくてもいい。一般の人は一日一万文字も入力するわけじゃないだろ。
なら、効率は多少悪くても悩まずに入力できさえすればいい。
ケータイの入力なら、
- 片手で入力しやすい。10キーというハードウェアがよい
- 覚えやすい。5タッチ(ケータイのかな入力)にしろ、2タッチ入力にしろ、ルールが簡単で類推できるため、覚えることが少ない。
という利点があるから、まあ効率はパソコンの両手打ちと比べれば悪いけど、オススメだよね。
パソコンの「かな入力」オススメじゃないのに何で使ってるの?
さっきは欠点を挙げたけど、パソコンの「かな入力」にもいいところはあるぞ。ひとことで言えば「ローマ字入力」よりは良いと思うから、使っている。
さっき言ったけど、親指シフトなども試したんだ。でも使えるようにする作業が面倒でさー。
その後で「かな入力」試したら、親指シフト等よりは効率は落ちるけど、思っていたよりは入力しやすかったんだ。
なにしろ「WindowsでもMacでも(WindowsMobileでもポメラでもPS2でも)、標準で使える」という点がすばらしいんだよ。公共機関やネットカフェに置いてあるPCでも、実家のPCでも、すぐ使える。この自由な感じ。
ほかに「かな入力」の優れている点は……
- 「ローマ字入力」のようにアルファベット綴りを意識しなくてもよい。「かな」だけ意識すればいいので頭がラク(指の負担は増えてるけど)。パソコンになぞらえて言えば、「ローマ字入力」してたときより脳のメモリー使用量が減って、そのぶん脳に余力ができた気がする。
- 半角カタカナ入力モード(カナロック)がたまに役に立つ(Windowsの場合)。 Shift+Ctrl+かな 押せば、漢字変換を通さずに直接半角カナ入力できる。
ふーん。ベストじゃないけど、ベター(ほかのよりは良い)ということか。