タイピング教則本を2冊読んでみた。どちらも増田氏の書いた本だ。
2時間でマスター 快適パソコン・キーボード
この本のタイトルの「2時間」って何なのかな? 根拠あるんだろうか。
この本にはこう書いてあったぞ。
この本の初版『キーボードを3時間でマスターする法―ワープロ10本指入力テクニック』は1987年(昭和62)に出ました。……今回、パソコン全盛期、ローマ字入力全盛期の現代に合わせた全面改訂新版を出すことになりました。
私が本を書く以前の実験では、タイピングに適性のありそうな30代の女性で試しましたが、英文タイプが1〜2時間、ローマ字入力で1時間から1時間半、かな入力で3〜5時間、親指シフトで3時間半から6時間でした。それで、入力方式を横断的にざっと平均して「3時間かなぁ」と編集者に言うとそれが書名になってしまいました。……
この全面改訂新版では、練習時間の長い親指シフトはカットしましたし、10分程度の練習でブラインド・タッチになってしまうテンキーの練習を入れましたので、実態に合わせて書名も『2時間』とスピードアップさせました。
(p7〜15)
ふーむ。人によってはもっと時間かかる場合もあるってことか。
親指シフトについては1987年版ではあったのに、1999年版では削られてるのね。
この本では、こう書いてある。
今回は、初版では最大のページ数を費やしていた親指シフトの練習を割愛しました。新規ニーズはあまりないと判断したためです。親指シフトのテキストが必要な場合は直接筆者へご請求ください。
(p22)
でも、この本の2009年改訂版ともいえる商品「120分ブラインドタッチプログラム」では、親指シフトの練習が復活してるぞ。
経済評論家の勝間さんが本やTVで親指シフト啓蒙活動した効果が現れているな。
カツケン〜勝間経済研究所〜 2009-10-25 でも親指シフトを大きく取りあげてたし。
この本ではローマ字入力と かな入力のどっちを勧めてるの?
この本では、こう書いてある。
ローマ字入力か、かな入力か?
あまり長文を扱わない方は、ローマ字入力でOKです。
将来にわたって日本語入力を沢山する見込みの強い方は、かな入力でOKです。しかし、周りがローマ字入力ばかりの現状では、まずローマ字入力をマスターして、ブラインド・タッチの快適さを実感しましょう。……
入力速度については、同じ方ならどちらの入力方式でもそんなに違いはありません。しかし、運動量はローマ字入力のほうが多いことは確かです。筆者自身も、ローマ字入力ではありませんが、2ストローク入力方式で一日中仕事をした後で、1ストローク入力方式のかな入力を使うと「あぁ、なんて日本語入力が楽なんだろう」と思えました。
(p31)
第4章 ローマ字入力
ローマ字入力を選んだ方は幸福です。練習がいちばん簡単だからです。
(p85)
第5章 かな入力
かな入力を選んだ方は幸福です。汎用性が高く、長時間の入力でも疲れないからです。
(p135)
へえ。かな入力も勧めてるね。
まあ確かに かな入力には、キー1つ押したら文字が1つ出るという気分のよさはあるね。
でも、この本が教える かな入力は、『らくらくキーボード練習帳 JISかな入力編 』と同じく、「増田式ホーム・ポジション」だからな……。
増田式ではかな入力のホームポジションを右へ1列・上へ1段移動して学習しやすく、高速で打ちやすくしています。……
この増田式ホーム・ポジションは、文字の分布と手指の運動のしやすさから、ベストな位置なのです。そして、通常なら小指で押すシフト・キーも、パソコンであればキー・カスタマイズして親指で楽に押せるようにできます。
なお、普通のホームポジションで練習したい方は、テキストがありますので筆者までお問い合わせください。
(p136)
「普通のホームポジション」で練習したい私としては、あまりうれしくないなあ。
でもこの本はしっかり書かれた力作だと思ったぞ。「増田式キーボード学習原理」についてもしっかり説明しているし。
ローマ字入力は、以下のように、「ざ行+あ段」みたいに教えるんだ。ZA という表記で教えるよりも、記憶の定着率や英単語綴りとの混濁が起こらない点でよい、と増田氏は言っているぞ。
この本の目次:
「2時間でマスター 快適パソコン・キーボード」
はじめに
第1章 キーボードお悩み相談室
- 本当に誰でもブラインド・タッチで打てるの?
- 2時間でどこまでマスターできるの?
- 入力方式は、どう選べばよいの?
- ブラインド・タッチができると何がよいのか
- キーボード入力を快適にする、もう一つの提案
第2章 右手から練習すれば早い
第3章 手指をほぐす
第4章 ローマ字入力
- かな入力との違い
- 2時間ブラインド・タッチ練習
- 自分のローマ字キー配列を作る
- 3分間復習文字列
第5章 かな入力
- ローマ字入力との違い
- 4時間ブラインド・タッチ練習
- 3分間復習文字列
第6章 英文タイプ
- 2時間ブラインド・タッチ練習
- 数字キー、シフト・キーと記号キーの押し方
- 3分間復習文字列
あとがき
はじめてのキーボード速修法―“歌って覚える”ブラインド・タッチ
以下の本もさっきと同じ著者の本だけど、こっちは初心者向けにとにかく図を増やした本だな。
現代は、キーボード見ない入力方法は「タッチタイプ」と呼ぶことになってるけど、この著者はブラインド・タッチって呼んでるのか。
この本は増田忠さんの本なのに、中指 中心の「らせん円的な練習」じゃなくて、「ABC…」とか「あいうえお」順で学ぶ本だ。
初心者向けの本なので、かな入力は省略して、ローマ字入力の練習方法だけ載っている。
「歌って覚える」っていうタイトルだけど、
さて、ここで『ABCの歌』を口ずさみながら「ABCDEFG」と打ってみましょう。ほら、できたでしょう。 (p39)
って ときどき書いてあるだけなんだよな。
ほかにもテンキー練習を「10人のインディアン・ボーイズ」を歌いながら、とか、日本語を一通り練習したあとで「いろはがるた」練習とかあるけど、あまり歌うことは重要視されていない。
この本のよいところは、とにかく図が多くて わかりやすいところだな。
文章なんか読んでられない心理状態のときでも、この図を見るだけで指をどう動かすかわかる。
英文タイプのところでは、ひとつの指だけでなく、手全体を動かすことが図を見ればわかる。
日本語入力のところも、さっきの本「2時間でマスター 快適パソコン・キーボード」よりずっとわかりやすい図だ。
ん? JI じゃなくて、ZI と教えているのか。 JI のほうが全然入力しやすいのにね。
もしかして、「じゃ」を入力するキーに ZYA をススメているの? JA のほうがよっぽど入力しやすいけど。
実は今回紹介した2冊では「じゃ」をどう打つか、書かれていない。省略されているんだ。でも以下のように、「しゃ」を、入力しやすい SHA ではなく、SYA と教えていることから類推すると、 ZYA をススメるだろうな。
これまでの増田さんの本は「らせん円的な練習」にクセがあって、ちょっと人に勧めにくい。
だけど、この本は初心者の人に見せるのに ちょうどよい本だな。
あとこの本のあとがきで、「チョイ入力」の開発についてのことが載っているぞ。名前を「チョイ入力」にするか「超入力」にするかで迷ったそうだ。
この本の目次:
「はじめてのキーボード速修法―“歌って覚える”ブラインド・タッチ」
はじめに
基本キーボード図
練習原理
LESSON 1:歌ってマスターするテン・キー (所用時間 5分)
LESSON 2:歌ってマスターするアルファベット (所用時間 1時間30分)
LESSON 3:2時間でマスターする日本語入力 (所用時間 2時間)
STEP UP講座かな入力速度の測定法
それでもダメな人のために
パソコン教室でも学べる増田式練習法
おわりに
読んでみて、何か新しい発見はあった?
いくつかあったよ。
- ほんらい、いちばん動く指は人差し指。しかし、2列担当して能力を分散させているので、いちばん動く指は中指となる。 (「はじめてのキーボード速修法」p17)
- 実は日本語の50音図は、出現頻度とほぼ一致している。(「はじめてのキーボード速修法」p61)
- 練習するときには体の力をぬいてリラックス。
- ホームポジションで両親指の爪をあわせておく。エンターキーやテンキーを入力して手がホームポジションから離れたとき、戻した指の爪をあわせることで、元の位置に戻す。
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