太字がないフォントというのはよくありますね。
IPAフォント http://ossipedia.ipa.go.jp/ipafont/ にも太字がありません。
FontForgeにはフォントを太字にする機能が用意されている(細字にする機能はないようです‥)ので、その使い方を説明します。
ちなみにここでは FontForge 20090923版を使用しています。たんに Ubuntu10.04/10.10 で用意されているFontForgeパッケージがこのバージョンなので、これを使っています。
Windows版のFontForge http://www.geocities.jp/meir000/fontforge/ ではもっと新しいバージョンも試しましたが、この20090923版がこの後に出た20100501,20110222版よりは安定している感じでした。(このバージョンは http://www.geocities.jp/meir000/fontforge/fontforge-mingw_2009_10_28.zip で取得できたはずですが‥ 2011年5月15日現在ファイルがないですね)
ちなみに20100501版ではこのように太字を作る機能のダイアログの中身が変わってます。このバージョンでどう設定するかはまだ調べていません。
ついでに 20110222版では太字を作る機能を選択するとアプリが異常終了するのでダイアログが見れません‥‥ まあFontForgeで異常終了はよくあること。
以下は、Ubuntu (Lubuntu) 10.10上の FontForge 20090923版で説明します。
作業工程
TrueTypeフォントを読み込みます。
[Edit>Select>Select All](編集>選択>すべて選択)ですべての文字を選択します。
いきなり [Element>Expand Strokes](エレメント>輪郭を太らせる)しても、こんな警告がでてきます。
クリックしないと先にすすまなかったりして、こまりますね。
そこで、この警告ダイアログを出さないようにする方法を説明します。
まず、全選択した状態で [Hints>Clear Instructions](ヒント>ヒント命令を削除)を実行します。
作業は時間かかるので、少し待ちましょう。5分もかかりませんけど。
このInstructionsというのは、文字データを表示するときのサイズによって表示を工夫するためのデータですが、太字にすると文字データが変わってしまうのでどうせ不整合になって、消さなくてはならなくなります。
あと、残しておくとフォント合成のとき FontForgeが Segmentation Fault で異常終了したりします。
ですから、あらかじめ消しておきます。
つぎに、[Edit>Unlink References](編集>参照を解除)を実行します。
これは、TrueTypeフォントでは「ほかの文字の部品をここに置く」という“参照”というものがあるのですが、これが太字にする作業中に「参照元が変更されました」みたいな警告を出すので、参照をなくして実体のみにします。
この2つをすませば、[Element>Expand Strokes](エレメント>輪郭を太らせる)しましょう。
わりと時間がかかります。待ちましょう。IPAゴシックは文字数が多いですからね‥ 1時間20分かかりましたよ。
ちなみにこの 69 という数値は、IPAゴシックで画数の多い漢字でもなんとか すきま がつぶれないような数値です。ほんとはもっと大きな数値のほうが線の太さ的にはよいのですが、それだと画数の多い文字がつぶれるからね‥。
そのあとで、emサイズを2048から1000にしました。これはM+フォント(emサイズ 1000)と合成する都合で変更しています。ほかのフォントと合成しないなら emサイズを変えなくてもよいです。
これでOKです。sfdファイルとしてsaveしましょう。
ちなみに、このままTrueTypeフォントとして出力する場合は、
[Element>Overlap>Remove Overlap](エレメント>重複処理>重なり合う図形を結合)や
[Element>Round>To Int](エレメント>座標を丸める)
を実行したほうがよいです。
今回は、どちらもやりません。この作業は「M+とIPAの合成フォント」 http://mix-mplus-ipa.sourceforge.jp のためにやったのですが、その場合フォント作成スクリプトを実行したとき、その中で実行されるからです。
その2つは、TrueTypeフォント出力直前に一度実行すればじゅうぶんです。
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