簿記の学習(5) 売上、受取利息、有価証券評価益

(○-○) 具体的に仕訳する練習しよう。
問題「商品を9800円で売って、現金9800円を受け取った」
これを仕訳(しわけ)しよう。


(・∀・) 同じ問題をさっきやったお!こうだお。

(借) 現金  9,800       (貸) 商品  9,800


(○-○) これは……分記法(ぶんきほう)だな。商品を売買する仕訳には、分記法以外にも、三分法(さんぶんぽう)がある。
簿記3級の試験では分記法はほとんど出なくて、三分法ばかり出るんだ。三分法だとこうなる。

(借) 現金  9,800       (貸) 売上  9,800

ここで「売上」っていうのは「収益」グループに含まれる。収益は P/L で右(→)にあるよな。

だから収益が+(プラス)ってことは、仕訳の右側(→) に書くんだ。
「現金」は資産で、資産は B/Sで左(←)にあるから、それが+(プラス)ってことは、仕訳の左側(←) に書く。


(・∀・) 仕訳の方法ってひとつじゃないのかお……?


(○-○) 普通、ひとつだけ覚えればいいぞ。この商品売買の仕訳だけは特別で、簿記の試験でごくたまに分記法が出るから2つ覚えてるんだ。でも分記法を答えられなくても試験では合格点とれるから、三分法だけ覚えような。

次は「商品を5500円で10個仕入れて、現金55000円を支払った」
これを仕訳しよう。


(・∀・) ……。


(○-○) まずはお手本を聞かないと無理だよな。問題はまだ早かったな。

商品の仕入れは「仕入」でこれは費用の勘定だ。費用は P/Lの左(←)で、「費用がかかった」=「費用+」だから、左(←)だな。
現金をしはらうと現金が減るから、資産は B/Sで左(←)にあって、それが−(マイナス)ってことは、左(←)の逆で、仕訳の右側(→)だ。

(借) 仕入  55,000       (貸) 現金  55,000


(・∀・) 10個仕入れたときは、仕訳も10個に分けて書かなくていいのかお。


(○-○) 仕訳では、まとめていいんだ。どっちにしろ、B/SやP/Lを作るときにはまとめるからな。


(○-○) じゃあ仕訳のやりかたをまとめて説明するぞ。

「収益」に属する勘定項目は以下だ。

  • 売上(うりあげ)
  • 受取利息(うけとりりそく)
  • 有価証券評価益(ゆうかしょうけん ひょうかえき)


(・∀・) 受取利息ってのは……


(○-○) 銀行とかがお金を返してもらうときにとる利息だよ。
「ローン(年利率2.5%)で現金30万円を貸し出しました」
「1年立って、回収しました」
という銀行から見た仕訳 2つを見てみよう。

最初の仕訳は現金が減る(資産−)する代わりに「あとで回収することができる権利」が増えた(資産+)。
1)

(借) 貸付金  300,000       (貸) 現金  300,000


次のは、現金を回収(資産プラス)。しかし貸付金という「回収する権利」がなくなる(資産マイナス)。受取利息を得る(収益+)。
2)

(借) 現金  307,500       (貸) 貸付金  300,000
                              受取利息  7,500


(・∀・) 2つめのは貸付金回収の30万円と利息の7500円がまざって、現金がひとつになってるけどこれでいいのかお?


(○-○) 取引としてはひとつだから、ひとつにまとめるほうが正しいぞ。こういう1対1にならないのは複合仕訳って言うんだ。ちなみにこの仕訳の貸付金と受取利息の上下は入れ替えてもいいからな。


(・∀・) 有価証券評価益ってのは……


(○-○) 有価証券っていうのは株や債券のことだ。会社が株を買ってお金を増やそうとすることがある。
任天堂の株で稼ごうと、100株購入した。購入手数料とあわせて現金で支払った」の仕訳をまず作ってみよう。


(・∀・) 任天堂http://quote.yahoo.co.jp/q?s=7974.o&d=t は1株54,000円で100株単位で買えるお。これを100株買うと 5,400,000円で、購入手数料は http://www.monex.co.jp/ServiceInformation/00000000/guest/G900/srv/srv05.htm だと 2,100円かお……。


(○-○) 株は「売買目的有価証券」という勘定項目で、資産プラスだ。購入手数料は売買目的有価証券の値段に含める。現金を払ったのは資産マイナスだな。
以下のような仕訳になるな。

(借) 売買目的有価証券  5,402,100       (貸) 現金  5,402,100


(○-○) この株を売らずに決算のときが来た場合、取得原価(しゅとくげんか)と時価が異なっているときは、その決算のときの市場価格で儲かったかどうかを計算するんだ。


(・∀・) なんで株を売ってないのに儲けに入れるんだお?


(○-○) 簿記には「記録」するのと「報告」するという2つの行為があるんだ。決算というのは「報告」のためにするものだ。で報告するとき、会計期間の中でどれだけ稼いでいくら金があるか報告するんだが、この「いくらお金持ってます」というのをなるべく正確に報告したいわけだな。
ここでは「売買目的」つまり売って儲けるために有価証券を買っただろう? この場合、実際に売ったらいくらになるかを調べてその金額で決算したほうが正確な持ち金(というか資産)が報告できるから、そうするんだ。


任天堂の株が1株60000円になってたとしよう。すると仕訳はこうなる。

(借) 売買目的有価証券  600,000       (貸) 有価証券評価益  600,000

この計算は (決算時の1株¥60000 − 取得時の1株¥54000)×100株 という計算だ。
上の仕訳の「有価証券評価益」は収益+だから右(→)、「売買目的有価証券」は資産+だから左(←)。