片手で日本語入力できる「ベルダ配列」
パソコンのローマ字入力や かな入力は、両手を使うのが前提になっています。 ですが片手だけで入力したいときがありませんか?
片手だけで入力できる日本語配列をつくりました。
Windowsに標準で付属している MS-IME の「ローマ字配列設定」に追加して使えます。 ATOK でも使用できます。
特徴
ケータイの「ポケベル入力」によく似ています。 google:ポケベル入力
おおまかにいって、ケータイの数字キー [1]〜[9] がパソコンの W〜V に対応して、 [0]キーが G に、 [*]キーが Z に対応しています。
ただし ぁぃぅぇぉっゃゅょ など小さな文字は、ケータイのように設定できなかったので、 独自の入力方法になっています。
配列表
2桁目に押すキー | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
W | E | R | S | D | F | V | ||
1 桁 目 に 押 す キ | |
W | あ | い | う | え | お | ||
E | か | き | く | け | こ | |||
R | さ | し | す | せ | そ | |||
S | た | ち | つ | て | と | |||
D | な | に | ぬ | ね | の | |||
F | は | ひ | ふ | へ | ほ | ー | ||
X | ま | み | む | め | も | |||
C | や | 、 | ゆ | 。 | よ | |||
V | ら | り | る | れ | ろ | |||
G | わ | を | ん | ゛ | ゜ | |||
A | ゃ | 「 | ゅ | 」 | ょ | っ | ||
Q | ぁ | ぃ | ぅ | ぇ | ぉ |
※ ひらがなに濁点・半濁点を入力する場合は上記以外にも、 濁点・半濁点を付けたい文字に続いて Z を押すと濁点、T を押すと半濁点を入力できます。
入力例
「あ」〜「ん 」までの かな については、ポケベル入力と同じです。
例: きりん
き | り | ん |
---|---|---|
EE | VE | GR |
濁点(゛)のついた文字は、濁点をつけたい文字に続いて、[G][S] または [Z] で入力できます。半濁点(゜)のついた文字は、半濁点をつけたい文字に続いて、[G][D] または [T] で入力できます。
例: パンダ
ハ | ゜ | ン | タ | ゛ |
---|---|---|---|---|
FW | GD または T | GR | SW | GS または Z |
「ゃゅょっ」は、ポケベル入力と違って、1ケタ目に [A] を入力して、2ケタ目に [W], [R], [D], [F] を入力します。
例: じっきょう
し | ゛ | っ | き | ょ | う |
---|---|---|---|---|---|
RE | GS または Z | AF | EE | AD | WR |
「ぁぃぅぇぉ」は、ポケベル入力と違って、1ケタ目に [Q] を入力して、2ケタ目に「あ」段〜「お」段のキーを入力します。
例: フォース
フ | ォ | ー | ス |
---|---|---|---|
FR | QD | FV | RR |
かぎカッコ(「」) や句読点 (、。) は、ポケベル入力と場所が違います。
例: 「それは、それ。」
「 | そ | れ | は | 、 | そ | れ | 。 | 」 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
AE | RD | VS | FW | CE | RD | VS | CS | AS |
「!」「?」「( )」などの記号やアルファベットや数字は、ポケベル入力のようには入力できません(ローマ字カスタマイズ制限で、設定できませんでした)。普通のローマ字入力のように入力してください。
例: 30点!?
3 | 0 | て | ん | ! | ? |
---|---|---|---|---|---|
3 | 0 | SS | GR | Shift+1 | Shift+/ |
両手でも入力できる
この配列は、片手で何か持っているときも入力できて便利ですよね。でも、両手が空いてるときにも片手で入力しないとならないの……?
――実は両手で入力することもできます!
左手で母音・右手で子音というふうに入力できます。
片手用と両手用は切り替える必要はありません。どちらのキーも同時に使えます。両手を使うときの配列表は以下のようになります。
2桁目に押すキー | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
U | I | O | J | K | L | / | ||
1 桁 目 に 押 す キ | |
W | あ | い | う | え | お | ||
E | か | き | く | け | こ | |||
R | さ | し | す | せ | そ | |||
S | た | ち | つ | て | と | |||
D | な | に | ぬ | ね | の | |||
F | は | ひ | ふ | へ | ほ | ー | ||
X | ま | み | む | め | も | |||
C | や | 、 | ゆ | 。 | よ | |||
V | ら | り | る | れ | ろ | |||
G | わ | を | ん | ゛ | ゜ | |||
A | ゃ | 「 | ゅ | 」 | ょ | っ | ||
Q | ぁ | ぃ | ぅ | ぇ | ぉ |
※ ひらがなに濁点・半濁点を入力する場合は上記以外にも、 濁点・半濁点を付けたい文字に続いて N を押すと濁点、P を押すと半濁点を入力できます。
インストール方法
MS-IME 2000 / XP / 2003 の場合
まずMS-IMEのバージョンを調べます。MS-IMEのツールバーで右クリックして、[ヘルプ - バージョン情報] を開くと分かります。
以下のレジストリファイルのうち、自分のWindowsに合ったバージョンのものをダウンロードします。
- http://japaneseinput.web.fc2.com/bellda/BELLDA-MSIME2007.reg (Office2007を入れたときのMS-IME。動作未確認)
- http://japaneseinput.web.fc2.com/bellda/BELLDA-MSIME-VISTA.reg (WindowsVistaに入っています。動作未確認)
- http://japaneseinput.web.fc2.com/bellda/BELLDA-MSIME2003.reg (Office2003を入れたときのMS-IME)
- http://japaneseinput.web.fc2.com/bellda/BELLDA-MSIME2002.reg (Windows XPに入っています。またはOfficeXPを入れたときのMS-IME)
- http://japaneseinput.web.fc2.com/bellda/BELLDA-MSIME2000.reg (Windows2000に入っています。またはOffice2000を入れたときのMS-IME)
ダウンロードしたレジストリファイルをダブルクリックして実行します。
MS-IMEのツールバーで右クリックして、MS-IMEのプロパティを開きます。
[全般 - ローマ字設定] を 'Microsoft IME' から 'bellda' に変更します。
[OK] を押してプロパティを閉じます。
MS-IME98 の場合
以下の2つのレジストリファイルをダウンロードします。
- http://japaneseinput.web.fc2.com/bellda/BELLDA-MSIME98.reg (Windows98に入っているMS-IME)
- http://japaneseinput.web.fc2.com/bellda/BELLDA-MSIME98-set.reg
ダウンロードしたレジストリファイル 2つをダブルクリックして実行します。
[スタート - 設定 - コントロールパネル - キーボード - 言語タブ - 日本語 - プロパティ] で、MS-IMEのプロパティを開きます。
[キー/ローマ字/色設定]で「MS-IME」を選び、[ローマ字入力/かな入力]で「ローマ字入力」を選んで、[OK] を押して閉じます。
ATOK (Windows) の場合
以下のスタイルファイル (ベルダ配列レベル1) をダウンロードします。
- http://japaneseinput.web.fc2.com/bellda/BELLDA21.STY (ATOK2008 for Windows用。ATOK2008スタイル)
- http://japaneseinput.web.fc2.com/bellda/BELLDA21-MSIME.STY (ATOK2008 for Windows用。MS-IMEスタイル)
- http://japaneseinput.web.fc2.com/bellda/BELLDA20.STY (ATOK2007 for Windows用。動作未確認)
- http://japaneseinput.web.fc2.com/bellda/BELLDA19.STY (ATOK2006 for Windows用。動作未確認)
(以下は ATOK2008の場合)
BELLDA21.STY を取得して、%APPDATA%\Justsystem\Atok21 (WindowsXPの場合 C:\Documents and Settings\ユーザ名\Application Data\Justsystem\Atok21) に置きます。
ATOK2008のツールバーの「メニュー」をクリックして、「プロパティ(環境設定)」を開きます。
「入力・変換」タブで、入力方法が「ローマ字入力」になっていることを確認します。
「キー・ローマ字・色」タブを開きます。
[スタイル操作]ボタンを押し、「ファイルを指定して追加」を選びます。
ファイル名の[参照]ボタンをクリックして BELLDA21.STY を選ぶ。スタイル名は BELLDA とします。
スタイル一覧に出てきた BELLDA を選び、[スタイルの選択]をクリックする。
[OK] を押してプロパティを閉じます。
ベルダ配列になっているか確認する。ww→「あ」と入力されればベルダ配列になっています。
ATOK (Solaris) の場合
以下のスタイルファイル (ベルダ配列レベル1) をダウンロードします。
- http://japaneseinput.web.fc2.com/bellda/bellda17.sty BELLDA配列 (ATOK17スタイル) ATOK for Solaris
- http://japaneseinput.web.fc2.com/bellda/bellda17msime.sty BELLDA配列 (MS-IMEスタイル) ATOK for Solaris
この STYファイルは、Solaris10 に搭載されている ATOK for Solaris で確認しています。Localeを ja_JP.UTF-8 でインストールしたためなのか、STYファイル(中身はテキストファイル)の文字コードにはUTF-8が使われています。
もしUTF-8以外のLocale (EUC-JP等) を選択してSolarisをインストールした場合は、このSTYファイルは使えない可能性があります。
配列変更手順
- 取得した STYファイルを $HOME/.iiim/le/atokx2/users/ユーザ名/ にコピーする。
- 適当なテキストエディタなどを起動して、[半角/全角]キーを押してATOKツールバーを出す。ATOKの[プロパティ(環境設定)]を出す。
- [入力・変換]タブで、入力方法に「ローマ字入力」を選択していることを確認する。
- [キー・ローマ字]タブの [追加]ボタンを押す。
- [既存スタイルファイルの追加]をクリックする。
- [スタイルファイル - 参照]ボタンを押す。
- bellda.styファイルを選んで、[了解]ボタンを押す。
- スタイル名に「BELLDA」と入力する。
- [了解]ボタンを押す。
- 「スタイル一覧」で BELLDA を選択して、[スタイルの選択]ボタンを押す。
これで使用できます。使用しなくなった場合は、「ATOK17」などのスタイルを選びなおせば、すぐ元のローマ字入力に戻ります。
アンインストール方法
もとのローマ字入力に戻すことは、簡単にできます。
MS-IME 2000 / XP / 2003 の場合
MS-IME98 の場合
- [スタート - ファイル名を指定して実行] で、regedit と入力して、レジストリエディタを起動する。
- [HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Ime\Japan\IME98\StyleList\MS-IME] にある「defRoma」をダブルクリックして、文字列内容を ROMA0 にする(「ローマゼロ」です)。
- レジストリエディタを閉じる。
- MS-IMEのプロパティを開く。
- [キー/ローマ字/色設定]で「MS-IME」を選び、[ローマ字入力/かな入力]で「ローマ字入力」を選んで、[OK] を押して閉じる。
ATOK の場合
- ATOKの「プロパティ(環境設定)」を開きます。
- 「キー・ローマ字・色」タブを開きます。
- スタイル一覧で、BELLDA 以外のスタイルを選んで、[スタイルの選択]をクリックする。
- スタイル一覧で BELLDA を選択して、[削除]ボタンを押します。
そのほか
この配列の利点:
- 片手の範囲で入力できて、両手でも対応していること。パソコンで実際に使える、片手で入力できる配列は なかなかないです。
- 配列変更ソフトを別途入れなくても、日本語変換ソフト(MS-IME, ATOK)さえあれば使えること。 ATOK上で使えるため、Windowsだけでなく Macでも少し修正すれば使えるはず(未確認)です。
- ケータイのポケベル入力に近い感覚で打てるので、ケータイでポケベル入力使っていると相乗効果でケータイの入力も早くなるかも。
この配列の欠点:
- 片手で入力する場合、キーをひとつ押しまちがえて訂正しないと、そのあとが全部ずれてまちがいになる(「あいさつしたところ」のつもりが wをひとつ押し忘れたら「あくえすけえにdろ」になる)。ケータイのポケベル入力にもある問題です。入力するときキーボードだけ見てるとそうなりがちです。画面を見てれば問題ありません。
- 効率優先の配列ではない点。キーを早く効率的に入力する配列を設計するなら「い」や「゛」などの頻出文字を打ちやすい位置(ホームポジション等)に持ってくるのが常道だが、この配列は効率よりポケベル入力とのキー配置互換を重視したので、頻出文字でも打ちやすい位置から外れていたりする。
- この配列の名前は、 ポケベル入力は「ベル打(う)ち」「2タッチ入力」などという別の呼び名がありますが、 「ベル打ち」の読み方を少し変えて、名付けました。
謝辞
MS-IMEとATOKのローマ字定義カスタマイズ方法については、
- 花配列を使う Keyboard Layout Maps http://www.massangeana.com/mas/charsets/hana/hanasetup.htm
を おおいに参考にしました。ありがとうございます。
ATOK2008のローマ字定義カスタマイズについては
- ATOK2008用AZIK(拡張ローマ字入力)定義ファイル - とぴやまのブログ http://d.hatena.ne.jp/topiyama/20080211/p1
も参考にしました。ありがとうございます。
ファイル作成に使用したスクリプトは以下です。
(更新:2008-05-22)
BELLDA配列を修正しました。 ダウンロードファイルを更新しました。
修正点
- もともとののケータイのベル打ちは「ゎ」は入力できないので、「ゎ」は定義から外した。
- MS-IMEで子音を重ねたとき「っ」が出てくる(例「ffw」→「っは」)ので、それを禁止するために、MS-IMEで子音を重ねたときは「・」(この入力は不可ですよ、という印)が入力されるようにした。ATOKでは子音を重ねても「っ」が出てこないので対策していない。
追加点