簿記の学習(22) 電卓の使い方

※このページでは「シャープ式」電卓の操作方法を説明しています。カシオ式は操作がちがい、このページでは説明していません


(○-○) 電卓の使いかたを学ぶぞ。


(・∀・) 簿記検定に電卓は必要なのか?


(○-○) 試算表は何十個もの数字をひたすら足す計算問題だしな。日商3級は時間があまり余裕ないし、電卓を使ったほうがいい。


(・∀・) 資格の専門学校で使ってる電卓っていうのがあるよね?
それを買っておけば、まちがいないと思うよ!

http://bookstore.tac-school.co.jp/book/category/9101/
学校用電卓 TAC出版書籍販売サイト CyberBookStore


(○-○) 確かにそうだが、電卓に4,700円は高いぞ。簿記の資格取った後で税理士にでもなるのならその後も使えるからいいけど、そうでないなら1000円の電卓でも充分なんだ。

電卓選びはまず最初に、カシオ型かシャープ型のどちらを使うか決める。google:電卓 カシオ シャープ


(・∀・) どっちがいいの?


(○-○) おすすめはシャープだな。見た目でわかるちがいは、[0]の位置だ。シャープは[1]の真下だが、カシオは[1]の斜め左下なんだ。シャープ型のほうがパソコンのテンキーに近いのがオススメの理由だ。専門学校TACでもシャープの電卓を勧めているのも大きい。

カシオの電卓には、パソコンのテンキーとしても使えるものがあるんだけど、普通のパソコンのキーボードを考えるとシャープなんだよなー。

CASIO ワイヤレステンキー電卓 ジャストタイプ ブラック JZ-120WL-BK-N 12桁

CASIO ワイヤレステンキー電卓 ジャストタイプ ブラック JZ-120WL-BK-N 12桁

  • 出版社/メーカー: カシオ
  • 発売日: 2005/09/16
  • メディア: エレクトロニクス


(・∀・) で、オススメは?


(○-○) 12桁・[GT]キーあり・[M+]キーありのやつを選ぶといい。大きさは大きいほうが早く正確に押せるぞ。amazon:電卓 SHARP 12桁
たとえば、これでいい。


(・∀・) 1000円ちょっとだね。


(○-○) 買ったら使い方を覚えるぞ。


(・∀・) プッ… 電卓の使い方?
[+][-][X][÷][=]だけ覚えればいんじゃないの?


(○-○) 電卓は、Excel使いなれた身から見ると、いちいち計算した結果を覚えていなくて面倒だろう?
でも実は覚えておける方法がある。他にも覚えるだけで計算が楽になりスピードがあがるワザがあるんだ。

ホームポジション

(○-○)
人差指・中指・薬指を、[4][5][6]の上におくんだ(右手操作の場合)。ひとつキーを打つたびにそのポジションに指を戻す。
それぞれのキーを押す指を決めておいて、いつも同じ指で押すように気をつける。
たとえば[0]は親指、[+][=]は小指。

これで、そのうちキーは見なくても、電卓上部の数字表示部分だけ見て計算できるようになる。


まちがいを訂正

(○-○) 入力ミスを訂正する方法だ。これは [CE] を押す。
30個の数字を足している途中で入力ミスしても、最初からやり直す必要はないからな。


例を示すか。

13 x 37 を求めようとする。

        • -

[1][3] [X] [3][6] ←あうっ手が滑った!
[CE] ←あわてずに訂正
[3][7]
[=] → 481が出る (= 13x37)

        • -


(・∀・) なるほどぉ。そうそうExcelは入力まちがいを目で見て直せるのがいいんだ。電卓でもできるのね。
ところで [CE] って何の意味?


(○-○) http://www.sharp.co.jp/support/kurasi/hn/el1.html を見るのだ。このシャープのサイトでは Clear Entry の略ということだな。


(・∀・) ときどきさぁ、[0]を押し過ぎることがあるんだ…。1,234,567,890,000 とかの桁の多い数だと、[CE]で訂正するにも時間がムダな気がする…


(○-○) そんな場合は [→]キーを押せば桁下げができる。
1200 と押すつもりが 12000 と押してしまったときは……

        • -

[1][2][0][0][0] ←あうっ手が滑った!
[→] ←あわてずに桁下げキーを押す→ 0が一個消えて 1200 になった。

        • -


(・∀・) ふーん。
数字じゃなくて計算記号をまちがえたときはどうするの?


(○-○) 最後に入力した計算記号のみが有効なんだ。


例を示すか。

13 x 37 を求めようとする。

        • -

[1][3] [÷] ←あうっ手が滑った!
[+] ←あわてずに正しい記号を……あうっ手が滑った!
[×] ←あわてずに正しい記号を再入力
[3][7]
[=] → 481が出る (= 13x37)

        • -


(・∀・) あぁそうなんだ。
ところで電卓には [CE]の他にも [C] [CA] があるよ。


(○-○) どっちも今までの計算結果をすべて消すのだが、[C]のほうはグランドトータルとメモリーの数値は残す。[CA]はそれも全部消す。という違いがある。


(・∀・) ……?


グランドトータルキー

(○-○) [GT]キーは GrandTotal の略らしいんだが、[=]キーを押したとき表示される数値を加算して、記録しているんだ。

使い方を説明するぞ。

Q. 店舗拡張のため、土地150m2を ¥12,000/1m2 と 土地50m2を¥30,000/1m2で購入して、登記料¥48,000および仲介手数料¥54,000とともに、代金は小切手を振り出して支払った。

この計算方法は以下のようになる。わかるな?

    150 × ¥12,000
+   50 × ¥30,000
+         ¥48,000
+         ¥54,000
----------------------------------
          ¥???????


(・∀・) うん


(○-○) 電卓で計算するぞ。

        • -

[CA] ←まず以前のグランドトータル結果を消去して トータル 0 にする
150 [X] 12000 [=] ←普通に計算する
50 [X] 30000 [=]
48000 [+] 54000 [=]
[GT]

        • -

これで ¥??????? の数値が分かるんだ。


(・∀・) へー


(○-○) それで仕訳は次のようになる。

(借) 土地  3,402,000      (貸) 当座預金  3,402,000


(・∀・) ありゃ? 登記料と仲介手数料は、土地なの?


(○-○) 付随費用だから土地の取得原価に含めるんだ。


(・∀・) ……ちょっと待って。計算方法は

        • -

[CA] ←まず以前のグランドトータル結果を消去して トータル 0 にする
150 [X] 12000 [=] ←普通に計算する
50 [X] 30000 [=]
48000 [=]
54000 [=]
[GT]

        • -

じゃあだめなの? このほうが計算式に近いよ。


(○-○) やってみればわかるが、だめ。

        • -

50 [X] 30000 [=]
48000 [=]
[GT] → 3,900,000になる(= 50x30000 + 50x48000)

        • -

とすると、「50×30000 の計算の後に 50×48000 の計算をした」という意味になってしまう。
つまり以下のように「50×」を電卓が勝手に補ってしまうんだ。

        • -

50 [X] 30000 [=]
50 [X] 48000 [=]
[GT]

        • -


(・∀・) なんと!?


(○-○) どうしても、そのようにしたいなら、途中に [CE] を押すとできるぞ。

        • -

50 [X] 30000 [=]
[CE]
48000 [=]
[GT] → 結果が1548000になる (= 50x30000 + 48000)

        • -

A−B の結果を求めるときは、B−A の結果を求めればいい

Q. 従業員に給料総額¥1,000,000のうち所得税源泉徴収分¥95,000と社会保険料の従業員負担分¥48,000を差し引き、残りを当座預金口座から従業員の普通預金口座に振り込んだ。

(○-○) この問題で、源泉所得税社会保険料の天引きはどちらも「預り金」としてまとめることができる。すると預り金は「95000+48000」となる。
さて次に「当座預金口座から振り込んだ」金額を計算する。
しかし「95000+48000」の結果「143,000」が電卓には残っている。この場合、「−」「1000000」「=」とするのが計算が早くできる。


(・∀・) こういうこと?

(95,000 + 48,000) - 1,000,000 = -857,000

答えがマイナスになるよ。


(○-○) 「1000000−(95000+48000)」という計算をすると正しい値が計算できるんだが、今回はその逆の計算「(95000+48000)−1000000」をしているんだ。だからプラスマイナスが逆になるから、それは転記するときにプラマイ逆にすればいい。
もしその結果をさらに電卓計算に使うなら、電卓の[+/-]キーを使って逆にすることもできるぞ。

ちなみに仕訳の結果はこうなる。

(借) 給料  1,000,000      (貸) 預り金   143,000
                               当座預金 857,000

モリー キー

(○-○) 電卓にはメモリー (Memory) という、数値を「一つだけ」覚えておける機能があるんだ。PCでいうクリップボードだな。


[M+]キーを押すと、メモリーに入っている数値に、現在表示している値を足す。
この[M+]キーは[=]キーの役割もあるんだ。だから 3x5の結果をメモリーに記録するときは、 [3][X][5][=][M+] と[=]を押してもいいけど押さずに [3][X][5][M+] とやってもいい。どちらでもメモリーに入ってる数値に15を足す。

[RM]キーは Recall Memory の略らしいが、メモリに入っている数値を表示する。

やってみようか。
2×7+3×5 を求める。

        • -

[CA] ←まずClearAllでメモリーに入ってる数値を 0 にする → メモリー数値:0
[2][X][7][M+] 2x7(=14)をメモリーに入っている数値 0 に足す → メモリー数値:14
[3][X][5][M+] 3x5(=15)をメモリーに入っている数値 14 に足す → メモリー数値:29
[RM] メモリーに入ってる数値 (ここでは 29) を表示

        • -


(・∀・) ふーん。


(○-○) [M-]は、メモリーに入っている数値に、現在表示している値を「引く」。

問題やってみよう。

Q. 当期に売買目的で額面¥100につき、¥96.50で買い入れた日本商工株式会社の社債のうち、額面総額¥6,000,000を額面¥100につき¥98.00で売却し、代金は月末に受け取ることにした。

まず購入したとき支払った金額を求める。額面総額 6000000 の額面100を96.5で入手したんだから、6000000÷100×96.5 で求めることができる。
次に売却して受け取る金額を求める。額面総額 6000000 の額面100を98で売ったので、 6000000÷100×98 だな。
最後にこの2つの差額を求める。ここでは売却してもうけてるから収益になる。

[CA]                              → メモリー数値: 0
6000000 [÷] 100 [×] 96.5 [=] →表示: 5790000
[M+]                              → メモリー数値: 5790000 (= 0 + 5790000)
6000000 [÷] 100 [×] 98 [=]   →表示: 5880000
[M-]                              → メモリー数値: -90000 (= 5790000 - 5880000)
[RM]                           →表示: -90000

仕訳としてはこうなるな。

(借) 未収金  5,880,000      (貸) 売買目的有価証券   5,790,000
                                 有価証券売却益        90,000


(・∀・) ふむふむ。[M+]や[M-]の前に、[=]は押したほうがいい気がする。


tips

(○-○) 受取手形¥208000 と売掛金¥192000 の合計金額の5%を求めろ、といわれたらどうする?


(・∀・) これでどうだい?

208000 [+] 192000 [=]  →表示: 400000
[×] 0.05 [=]           →表示:  20000


(○-○) うむ!グッドだ!
しかし [%]キー を使うと小数点を使わなくても計算できるぞ。

208000 [+] 192000 [=]  →表示: 400000
[×] 5 [%]              →表示:  20000


(・∀・) おっ、このほうがラクそうだ。[%]キーのあとは [=]を押さなくてもいいのか……



(○-○) 「備品¥200,000 に対して定額法により減価償却を行う。残存価値は取得原価の10%とし、耐用年数は6年である」という問題で、一年分の減価償却費を求めるには、どうする?


(・∀・) ……こうか?

  • 残存価値をまず求める。 200000 - (200000 × 10%)
  • カッコの中 200000 × 10% をまず計算する。次にそれを 200000 から引く。
  • そしてそれを 6 で割ると1年ぶんの減価償却費。
200000 [×] 10 [%]      →表示:  20000
208000 [-] 20000 [=]    →表示: 180000
[÷] 6 [=]              →表示:  30000


(○-○) 簿記検定では「残存価値は取得原価の10%」となっている問題が多いんだ。その場合、取得原価×0.9 すれば 10%引いたのと同じことになる。


(・∀・) なんと? 今度は小数使ったほうが早いのか……


(○-○) しかも、0.9 と打たなくても、.9 と入力することができる。つまり 0 は省略できるんだ。

200000 [×] .9 [÷] 6 [=]  →表示:  30000


(・∀・) あら、一度の計算でできるのね。


(○-○) 減価償却費のときだけは小数点使うといい。あとは[%]キー使ったほうがいいと思うよ。

ニコイチ キー

(・∀・) ヨ***カメラで¥1,100くらいの電卓買ってきたよー。SHARPのやつ。
でも、[RM] キーや [CE] がないんだ。


(○-○) これは2つのキーを1つのキーにまとめてしまった電卓だな。
[R・CM] というキーを1回押すと[RM]キーの働き(メモリー内容を呼び出す)で、2回押すと [CM]キーの働き(メモリー内容を消す)なんだ。
http://www.sharp.co.jp/support/e_calc/faq.html#n12


[C・CE] も、一度押せば [CE] キーで、二回押せば [C] キーとして働く。
http://www.sharp.co.jp/support/e_calc/faq.html#n10


(・∀・) えっ!問題あるかな……?


(○-○) いや特に問題ないと思うぞ。そもそも [CM] や [C] って使わなくてもいいからね。2回押し しなくてもいいよ。

モリー機能知らないで受かったという人もたくさんいるからな。あんまり気にしなくてもだいじょうぶ。



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