日商簿記2級 工業簿記(1) 直接原価計算
日商簿記2級にチャレンジするぞ。まずは2級で新しく現れた「工業簿記」を学ぶ。
テキスト読んだけど、難しいよー、単語がね……。
これを見てよ。漢字の長さがすごいよね。
予算許容額は、実際操業度のときの変動製造間接費予算額を計算して、固定製造間接費予算額を足した金額ですね。
(『サクッとうかる日商2級工業簿記テキスト』より)

- 作者: 福島三千代
- 出f版社/メーカー: ネットスクール出版
- 発売日: 2009-03
- メディア: 単行本
おすすめ度の平均:的外れな部分もあるけど…。
それじゃ、このテキストを後ろから読んでみようか。
なんで後ろから?
後ろから読んで、分からない単語は前に戻って読むというのも、ひとつのやり方。
まずは「直接原価計算」を学ぶぞ。
この単語の意味をまず知ろう。
「原価」とは製品をつくるのにかかった費用で、「原価計算」とはその原価の金額を導き出すこと。
「直接」ってのは? 間接とかあるのか?
「全部原価計算」⇔「直接原価計算」という単語が対立しているんだ。
その違いは?
- 全部原価計算
かかった費用で「変動費」と「固定費」を分けないで混ぜるやりかた。 google:直接原価計算 全部原価計算
具体的には、以下のような損益計算書になるよ。
損益計算書(直接原価計算)
---------------------------------------------
売上高 8,000
費用(変動費)→ 変動売上原価 2,800
変動製造マージン 5,200
費用(変動費)→ 変動販売費 800
貢献利益 4,400
固定費
費用(固定費)→ 固定製造原価 1,200
費用(固定費)→ 固定販売費 及び 一般管理費 2,100 3,300
営業利益 1,100
損益計算書(全部原価計算)
--------------------------------
売上高 8,000
費用(変動&固定費)→ 売上原価 3,760
売上総利益 4,240
費用(変動&固定費)→ 販売費 及び 一般管理費 2,900
営業利益 1,340
損益計算書ってなんだっけ? 貸借対照表って言うのもあったよね。
損益計算書(P/L, Profit and Loss Statement)は「いくら稼いだか 表」で、貸借対照表(B/S, BalanceSheet)は「いくらお金を持ってるか 表」。 wikipedia:損益計算書 wikipedia:貸借対照表
上にある損益計算書2つでは、下の「全部」原価計算のほうが単純に見えるね。でも、上の難しいほうにも詳しいぶん、何か「いいこと」があるんだね?
「直接」原価計算のいいところは、売上高の増えかたと、利益の増え方の関係が分かりやすくなるんだ。
つまり、
- 損益分岐点(原価ぶんを取り戻して、赤字から黒字に転換するときの売上)や、
- 目標利益額を達成する
ために、どれだけ売り上げればいいのかを計算できるんだよ。
損益分岐点っていうのは、経済ニュースでよく聞く単語だね。 wikipedia:損益分岐点
ところで、上の2つのP/Lだけど、営業利益の金額が ちがうんだけど……。
これは「費用(固定費)」の計算方法が違うからだな。
直接原価計算なら、在庫が残っていても いなくても、すべての「費用(固定費)」を計上する。
しかし全部原価計算では、売れた製品分の「費用(固定費)」だけP/Lに計上される。
ということは、在庫に残った製品分の費用(固定費)はP/Lに計上されないから、そのぶん費用が かかっていないように見えるんだ。
ちがったままで、いいの?
いや、全部原価計算の結果に合わせることになってる。
だから、直接原価計算のP/Lは以下のような補正をおこなって、全部原価計算の結果に合わせる。
損益計算書(直接原価計算)
---------------------------------------------
売上高 8,000
費用(変動費)→ 変動売上原価 2,800
変動製造マージン 5,200
費用(変動費)→ 変動販売費 800
貢献利益 4,400
固定費
費用(固定費)→ 固定製造原価 1,200
費用(固定費)→ 固定販売費 及び 一般管理費 2,100 3,300
直接原価計算の 営業利益 1,100
固定費調整
New! → 期末仕掛品・製品の固定製造原価 240
New! → 期首仕掛品・製品の固定製造原価 0
New! → 全部原価計算の 営業利益 1,340
で、この売上高とかって、なんだっけ?
以下の図を見ながら説明する……
損益計算書(全部原価計算)
--------------------------------
売上高 8,000
費用(変動&固定費)→ 売上原価 3,760
売上総利益 4,240
費用(変動&固定費)→ 販売費 及び 一般管理費 2,900
営業利益 1,340
売上高(うりあげだか)っていうのは、製品を売ったときお客様から受け取るお金だ。[収益] wikipedia:売上高
売上原価(うりあげげんか)っていうのは、製品を作ったときにかかった費用。[費用] wikipedia:売上原価
売上総利益(うりあげそうりえき)は「粗利益(あらりえき)」もっと縮めて「粗利(あらり)」ともいうけど、単に「売上高 − 売上原価」だな。上の数字をよく見てくれ。この数値は商品の競争力を示すらしい。 wikipedia:売上総利益
販売費(はんばいひ)っていうのは、販売する店員さんのお給料とか広告代だ。
一般管理費というのは、事務の人に払う給料とか光熱費・道具代・交通費など、いろいろだ。wikipedia:販売費及び一般管理費
営業利益(えいぎょうりえき)は、これも数字見ると分かるけど、「売上総利益 − 販売費及び一般管理費」だ。つまり「広告や設備費も含めた、企業」の稼ぐ力を示している。 wikipedia:営業利益
あらり、えいぎょう りえき……ふむふむ。
次に以下の図について説明するぞ。
損益計算書(直接原価計算)
---------------------------------------------
売上高 8,000
費用(変動費)→ 変動売上原価 2,800
変動製造マージン 5,200
費用(変動費)→ 変動販売費 800
貢献利益 4,400
固定費
費用(固定費)→ 固定製造原価 1,200
費用(固定費)→ 固定販売費 及び 一般管理費 2,100 3,300
直接原価計算の 営業利益 1,100
期末分の固定製造原価 240
期首分の固定製造原価 0
全部原価計算の 営業利益 1,340
ところで直接原価計算では「変動費」と「固定費」を分けるって、さっき言ったよな。
ちょっと待って。 変動費と固定費って なんなの?
固定費は、製品を一個も作らなくても かかる費用。
建物の借り賃とか、生産機械の減価償却費とかだね。
変動費は、製品を作れば作るほど たくさんかかるようになる費用。
材料費とか、あと工員の人に払うお給料も変動費だよ。
給料って月額固定じゃないのか? 固定費じゃないの?
確かに、年俸制でいくら残業しても もらえる額が決まっている人の給料は固定費だ。
時給で働くアルバイトの人の給料は変動費だよ。
それで、全部原価計算の売上原価(変動費+固定費)は、直接原価計算の世界では「変動売上原価」(変動費)と「固定製造原価」(固定費)の二つに分かれるんだ。
固定「製造」原価ってのがよく分からないよ。 売上原価が分裂したんだから、固定「売上」原価ならよく分かるんだけど……
これは考え方の ちがいだな。 直接原価計算の世界では、変動費だけを製品の原価と考える。つまり固定費は製品の原価に含んでないと考えるからこそ、損益分岐点とかが分かりやすくなるんだ。
それに対して全部原価計算は、固定費も製品の稼ぎから捻出してるんだから、製品の原価に含めようという考え方なんだ。この考えだと、固定費も含んだ費用管理がやりやすくなるってこと。
なるほど。製品の原価に「含んでいない」から、売上原価じゃなくて製造原価なのか。
「期末分の固定製造原価」「期首分の固定製造原価」というのもあるよ。なんだろ、これ。
期末分の固定製造原価っていうのは、今月ぶんの作りかけの製品(仕掛品 しかかりひん)と、売れ残りの製品(在庫)を作るのにかかった、製造原価のことだ。
期首分の固定製造原価は、先月の売れ残りの製品在庫と、先月作りかけの仕掛品にかかった製造原価。
全部原価計算では売れない在庫分は「製品(資産)」扱いになって、直接原価計算では費用扱いだから補正する必要があるんだ。さっきも言ったけど、直接原価計算のP/Lを全部原価計算に合わせるために、在庫分を補正計算しているわけ。
直接原価計算とか全部原価計算って単語として長すぎるよね。もう少し短くならないかな。
話を戻すと、販売費も、変動販売費と固定販売費に分けられる。
変動製造マージンっていうのは、図の数字見れば分かるけど、「売上高 − 変動売上原価」 google:変動製造マージン
貢献利益(こうけん りえき)は、「限界利益(げんかいりえき)」とも言うけど、「変動製造マージン − 変動販売費」 google:貢献利益
で、これでどうやって損益分岐点とか計算するの?
CVP分析という方法を使うよ。